The Spice Of Life

人生に、スパイスを。

ささやかな喜びの見えにくさ

7/1(月)~7/7(日)

さて、この家庭での生活も二週間目に突入。生活スタイルには慣れ、家族がどういった雰囲気や性格かもおおかた理解できた。

 

そんなこんなで、一応記録しておく家族構成

母:ザ・ストロングウーマンという感じ。男らしい顔立ちをしていて、力持ち。背も高い。でも時々ヴィ―ガンバターをうっかり口元につけたまま喋っている、意外とお茶目なところもある。そしてよく喋る。カバンを持つのが嫌いなのか、いつも腰回りにポケットがいくつか付いているベルトのようなものを巻いている。茶髪が混じった白髪のロングヘア。リングタイプの鼻ピアスをつけていて、へそまわりにタトゥー。この前、雨が降ったあと外へ出て作業するとズボンが濡れてしまったから気持ち悪いと言い、ズボンを脱いで下半身はパンツのまま歩き回っり、その姿で、お昼ご飯を食べていた。自由。でも料理は少し苦手。元ベジタリアン

父:ハリーポッターに出てきそう。髪もヒゲも長めなのに、頭頂部だけなぜかハゲている。赤毛に丸眼鏡、そして博士や研究者かのようなヒゲをはやしている。物静かで落ち着いているが、時々ジョークを言うひょうきんな一面もあって、すごく優しい。そして、かなり細身だが、週に一度はボルダリングをする生活を20年以上続けているそう。常連のボルダリングジムでは、参加者のスコアを貼りだして競い合うコンペティションで一位をキープしている(同率一位がもう一人いるが)。家ではPCを使ってリモートワークをしている。ルイボスティーとコーヒーが好き。子どもたちに家で理科を教えている。元ベジタリアン

長女:今年13歳。鼻に小さなワンポイントのピアスをつけている。5月の誕生日を機に、開けたらしい。耳と鼻どちらにするか迷ったが、あえて無難ではないほうを選んだそう。わたしが来た頃は、ブレイズといって細かい三つ編みをいくつか結んだダンサー系のような髪形をしていたが、今はほどいている。ベリーショートカットだが、左側の一部の髪だけあごあたりまでの長さにしていて、左右非対称の髪形。それがまた、超似合っていて全く違和感がない。母に似て背が高く、足も長い。地球温暖化と気候変動の阻止を訴える16歳のスウェーデンの女の子に影響され、このあたりの地域でも彼女を筆頭にしストライキ活動を数回行ったそう。バイオリンを習っていて、歌やピアノも好きな芸術っ子。

次女:今年6歳。完璧な金髪で、アルビノなのかと感じるほど眉毛やまつげも金色で、肌がかなり白い。でもクライミングや水泳の習い事をしていて、いつも外をかけ回っている。動物が大好きで、この前は家のすぐそばで元気をなくしてぐったりしていた小さな小さなネズミを見つけて、育てようとしていた。本を読んでもらうこととごっこ遊びも大好き。文章はまだすらすら書いたり読んだりできないが、持っている本はページをめくりながらストーリーを説明できるくらい、内容を覚えているらしい。たまに指をしゃぶり、ママ、ママとまだ甘えている姿を見て、みんなが癒されている。 

 

家族全員 自然と動物が好きで、環境問題に関心がある。そしてヴィーガン

 

 

わたしの普段の生活:

火~土は家のお手伝い。主に、パンを焼くことやビニールハウスや庭への水やり、動物たち(ニワトリ6羽・アヒル1羽・うさぎ2匹・猫2匹)のお世話は、毎日のお仕事。猫についてはほぼほったらかしだが。日々のお手伝いに加えて、雑草抜きや次女(5歳)の部屋のお片付け、苗植え、野菜や果物の収穫などなどいろんな仕事が曜日や週によって変わる。日月は基本お休みなので、お昼ごはん用のパンを焼くことと水やり以外は、あまり何もしなくてよい。次女と遊んだりDVDを観たり、あたりを探検してみたり、ブログを書いたりしている。

 

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ある時の仕事は、植物周りの雑草を刈り取るというもの。

これは終わったあとの写真なのだが、やり始める前は、生い茂った雑草のせいで植物たちがまるでほとんど見えなかった。刈り終えてからは見違えるほど見通しが良くなったので、かなりの達成感。ビフォーの写真が無いのが、ほんとうに残念。使わなくなったタイヤを再利用してプランターにしているところは、ホストファミリーならではの要らなくなったものを活かす工夫だと思う。

 

 

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月曜日はお休みだったので、1人で家の近くを歩いてみた。と言っても、周りにはあまり何もないのだが。

 

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散策しているとすぐに広い牧場や草原が見える。動物たちもいっぱい。のびのびと暮らしてそうだ。

 

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この写真をアップすると…

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アップしてみるとよく見える、たくさんの羊たち…!

 

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木陰で休んでいる姿を見て、和む。

 

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馬も発見。絵になるなあ…

 

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このご近所さんのおうちには、キャンピングカー、トランポリン、そして手作りと思しき立派なツリーハウス。わたしがホームステイしている家族も、トレーラーやキャラバン、トランポリン、小さなツリーハウスがある。

こんな家庭に生まれた子どもは外遊びが大好きだろうなあとふと考えつつ、帰宅。ひたすらに静かですれ違う人もいない、のどかな時間だった。

 

日本の都市部での混み具合や人々の余裕のなさ、忙しない様子とはまるで大違いな世界である。こういうところに住めば、不必要なストレスや心配を感じることもなく、長生きできそうな気がする。何も、生き急ぐ必要はないのだから。

 

 

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とある日は、夕方から家族でボルダリングへ。

学生料金だと5ユーロ(700円ほど)で、2時間半ほど楽しめるところだった。日本でも一度ボルダリングをしたことがあるのだが、初回利用は3000円ほどだったので、こちらはかなり良心的なお値段。クライミングスペースもとても広く、色んな場所で楽しめた。カフェが併設されておりフードサービスもあったので、頼んだフライドポテトや、持参したポテトチップスやカット野菜、フムス(ひよこ豆のディップペースト)、フルーツなどを休憩がてらにみんなで食べた。

この写真は少し難しいエリアなのだが、他のところはもう少し足場が多い。石の色ごとに難易度が決まっていて、スタート時の手の位置も決まっている。わたしはまだぺーぺーの初心者なので、レベルが10段階ある中、怖がって1~3までしか挑戦できなかった。昔は、体育の授業でクラスメイトと優劣の差がついたり競い合うスポーツばかりでまったく運動が好きではなかったが、最近ようやく好きになり始めたのは、我ながらいい変化だと思う。

 

 

そういえばある日の朝、何やら動物の悲鳴らしき声が聞こえて、思わず飛び起きた。バタバタ音がしたので気になっていると、何かがわたしの部屋に飛び込んできて(ドアがないため)、すっとベッドの下へ逃げていった。来た方向に目をやると、こちらを見つめていたのはネコ。この家で飼っているネコである。よく鳥をつかまえて食べることがあるとは聞いていたが、まさか。そして不運にもわたしの部屋に獲物が逃げてきたなんて。すぐにホストファザーに助けを求め、気付いた頃にはネコはどこかへ消え去っていた。ベッドを動かしてみると、なんとそこにいたのは灰色の小さい野ウサギ。野生のウサギを追いかけるネコ… まさかの状況にびっくり。田舎ではよくあることなのだろうか?野ウサギは、家の近くの茂みに返してあげた。

 

 

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さて、話題を変えて

金曜日から日曜日にかけての三日間は、人生初のキャンプを体験したのだった。今住んでいるところから、スコットランドまで車で20分と少しの距離ということにまず驚き。スコットランドの伝統音楽を楽しむイベントが週末にかけてあるらしく、家族は毎年来ているのだとか。イベントの開催は今年で50年目らしい。

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トレーラーテントを持って来ていたので、組み立てた。

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中にはメインベッドが二つ、ベンチが一つある。

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わたしは1人でテント。順序を覚えてしまえばテントを立てるのも簡単なのだなあと学んだ。ホームステイ先から枕を持って来ていたのでそこそこ快適に眠れたが、寝袋を使ったため、睡眠中あまり身動きできず身体の節々が少し痛かったことだけが少し気になった。

 

キャンピング場には私たちのようなトレーラーテントやキャンピングカー、大きなテントなどなどがたくさん。遠方から来ている人も多いようだが、何よりも伝統音楽のイベントのプログラムは朝から深夜の2時まであるというので、こうして泊まる人が多いことにも頷ける。

 

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町の広場では、大きいステージ前でギターや歌の演奏が楽しめた。楽器は、伝統的と言うこともあって笛や弦楽器ばかりだ。歌も、心地の良い民族音楽のような感じ。

 

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スナックはフライドポテト。このキッチンカーで売られているファストフードの中では、ヴィ―ガンである私たちが買えるものはこれしかなかったが、家族はフライドポテトが大好き。塩をふりかけ、お酢を回しかけて食べるか、ケチャップかのどちらかが一般的な食べ方らしい。イギリスではチップスと言い、ポテトチップスのことはクリスプスと呼んでいる。

 

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町には木々や花壇が多く、休めるベンチもかなり多かった。座っておしゃべりしている夫婦やカップル、友人同士、ぼーっとしている人もいれば、読書をしている人、色んな人がいる。

日本も街中にもっとベンチがあればいいのになと思いつつ、タピオカドリンクのプラスチックカップごみが置き去られるだけの予感もする。それではかえって良くない。時代だなあ。ヨーロッパのように街中にゴミ箱も増えるといいのだが、日本ではデメリットも多いはず。うーん。

 

 

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日中や夕方は、いくつかの施設や教会で、楽器や歌のコンテストのようなものが催されていた。子ども部門と大人部門があった。ホームステイ先の家族の子どもたちも、長女はフィドル(弦楽器)、次女は歌のジャンルで参加。わたしはこれまで全く音楽をしてこなかったので、参加者それぞれの演奏の素晴らしさがなんとなくしか分からなかったが、伝統音楽を目いっぱい楽しめた。

バグパイプの生演奏も初めて聴くことが出来たので、興奮した。RADWINPUSの「バグパイプ」という曲はこの楽器のことか~!と、今さらながらに気付き、曲を数年ぶりに聴いてみると確かに、高音で耳に響くあの音、これはバグパイプだったのか。どうやら、bag(袋)とpipe(管)で出来ている楽器だからこの名前らしい。そのままのネーミング。実際にバグパイプを演奏できるワークショップにも参加したのだが、一定の音階で長く音を出すことにかなり苦戦した。両腕の筋肉がないのですぐに疲れてしまった。楽器一つ一つによって袋に空気を入れる力の入れ具合が変わってくるらしく、いくら上手なバグパイプ奏者でもいつもと違うバグパイプを演奏するのは難しいらしい。面白いワークショップだった。

 

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写真は、夜10時から始まる踊りの時間にて。映ってる青いワンピースはわたし。

踊りのための音楽は、ステージ上で生演奏。見ているだけでも十分楽しいのだが、実際に踊ってみるのもかなり楽しい。踊り方が分からなくても全然問題ない。周りの人を見るか、ペアの人が知っていれば教えてもらう。一曲は5分程度で、曲によってはペアが順番に代わっていくスタイルの踊りもあった。中学生のころ授業でみんなイヤイヤやっていたフォークダンスを思い出す。あの頃の女子はみんな、好きな人とペアになれる瞬間がただただ待ち遠しくて、それ以外のペアとの時間は意味がないようなものだった(甘酸っぱい思い出だが自分もそうだった)。

次の曲が始まるタイミングで、ものすごく優しいふくよかなおっちゃんに「一緒に踊ろう」と誘ってもらい、一緒に踊った。ルックスで韓国人か日本人だということが分かったらしく、気さくに話しかけてくれた。普段は観光客がほとんど来ないそうで10代~20代の若者も少ないという。何人かの男性(元々おじいさんおばあちゃんが多いイベントなので、誘われたのはおじいちゃんばかり)と一緒に踊り、踊りを覚えるのが早いだの、笑顔が素敵だの、たくさん褒めてもらって素直にうれしくてとてもいい気分だった。英国紳士と言うように、スコティッシュの男性も本当にみんなジェントルマンで優しかった。

初日は1時間ほど楽しみ、夜11時ごろに家族とテントへ戻った。二日目の夜は、家族は夜12時くらいにテントへ戻ったが、わたしは気付けば深夜の1時前まで踊っていた。プログラム上では一応夜中の2時まで。眠気のせいで、さすがに最後までは踊れなかった。

 

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トレーラーテントの中にはガスコンロや小さな棚があるクッカーというものがあったので、3日間出来るだけ近くのスーパーで食材を買ってきて家族で自炊した。ある時の朝食は、ヴィ―ガン用のソーセージとスクランブルエッグと豆のケチャップ煮込み(イギリスで有名な食べ物)。動物性の原材料が一切含まれていないなんて信じられないほど、ソーセージらしいソーセージ。またある時の夜ごはんは、買ってきた雑穀パンと持ってきたヴィ―ガンバターと作ったカレー風煮込み。お腹が空いたときに、みんなで円になって美味しいご飯を食べるだけで、言い表せないほどの満足感。これだから非日常は面白い。

 

そういえば、ホストファザーがティーポッド用の金属製のフィルターを家に忘れたと言い。自分の洗濯済みのくつ下を使って茶葉をこしていたことがあった。普段真面目な彼にも適当な一面があることは知っていたが、いくらきれいな靴下でも履くものを使って飲み物を作ることには抵抗があり、普通に引いた。「飲む?」と聞かれて「いらないです…」とは言いにくかったのでわたしも飲んだが、味は普段と変わらず。わたしの舌があほなのかと疑ったが、まあ結果オーライ。こんな経験もキャンプならでは…なのか?

 

 

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キャンプ場あたりを散策してみると、道路沿いの家の玄関ドアがかわいいことに気付く。ドアの形や色、家番号のようなナンバープレートは、どの家も違うデザインで見飽きなかった。アンティークの雑貨屋さんやスーパーもぶらりと歩き、とても楽しかった。

 

そんなこんなで、週末も終わり。キャンプも音楽のイベントも楽しかった。新しい環境で生活したり新しい文化を学んだりすると、人生の経験値がまた上がった気がして謎の達成感がある。

焚火で料理して川で遊ぶといった典型的なイメージのキャンプも、いつかまた体験してみたいなあ

 

 

7/7 せっかくの七夕は、結局何も願うことなく終わってしまった。母は、わたしが2月無事に帰ってくるように願ってくれたらしい。どうか無事に帰れますように。

 

それではまた

つづく