The Spice Of Life

人生に、スパイスを。

夢かうつつか

 

6/22 今日の予定

・日本を出発。乗り換えのため、まずは中国 深圳(シンセン)へ

・イギリスへ向かう飛行機には翌日乗るため、中国で一泊

 

出発当日は、家族やいとこ、祖父母が見送りに来てくれた。私はこんなにあたたかく見守られ、そして応援されているのかと、ハッとさせられたようだった。みんなで美味しいお寿司を食べ、最後の時間を楽しんだ。この時もまだ、しばらく家族に会えないのだという実感がわかず、別れ際も笑顔を見せていた。だが、家族に背を向けたとたん、突然ぶわっと涙が出そうになった。ドラマか何かでよくあるようなシーンを演じているわけでは、全くない。ただ、 私は家族が大好きなのだと、改めて思えた瞬間だった。本当にそう思う。

 

留学中は、おばから大学の進学祝いに買ってもらったピンクゴールドのネックレス、母から20歳の誕生日に買ってもらった誕生石のピアスを、いつでも身に付けていようと決めた。無くしませんように。

 

さて、ここから、中国まで4時間と少しほどのフライトに臨む。

ベジタリアン対応のメニューをあらかじめインターネットで予約するつもりだったが、てっきり忘れていたため、機内食では 出されたすき焼きの食事を大人しく食べた。人参が花形にカットされているところにほっこりした。ご飯があるのになぜか小さいパンも付いていたので、これは翌日の朝ご飯用にする。

 

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用意されていたフォークやスプーンなどの使い捨てプラスチックを利用したくなかったので(最近は、出来るだけごみを出さない暮らしをしようとしている)、木製のマイ箸やマイフォークを使って食べた。

ただ、食事を下げてもとらうきに未使用のものを再利用してもらえないか聞いてみると、使用しているかどうかにかかわらずこれらは全て破棄するとのこと。なんてこった。それでは全く意味がない。きっとあの時、お互い悲しい顔をしていただろうと思う。でも、こうやって仕方がないこともあるのかもしれない。消費者が意識すればごみを少なくできる場所やシチュエーションと、しないほうがいいそれもあるのだと学んだ。

ドリンクはマイタンブラーに入れてもらえたので、いくつもの紙コップやプラカップを救出できたと思う。他の乗客のカップ消費量を考えると、胸が痛む。

 

さて、そんなこんなで中国へ到着。

空港に着いて到着口へ出ると、驚異の蒸し暑さにたまげたほどだった。空調が故障しているのか?外はとんでもなく豪雨だとかそういうことで湿度がえらく上がっているのか?いろんな可能性を思い浮かべているうちに、一気に汗だくになった。こんなに蒸し暑いのは私だけなのか?とあたりを見回したりもした。

 

とりあえず、前もって予約しておいたホステルへ向かうため、地下鉄に乗って移動することにした。ホステルに着くまで、何人もの人に地下鉄での両替の方法や正しい道順を聞いた。何回、「謝謝(シェイシェイ)」とお礼を言ったことか。英語が喋れない人も多いけれど、みんな優しかった。

重い荷物に、慣れない一日の疲れ、そして未だに続く異常なまでの蒸し暑さ、くたびれた顔をしながら暗い夜道をさまよい、坂道を上がった。

 

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空港から電車で30分以上離れたこの場所。思ったよりも都会。

 

歩くこと、30分以上。大変な思いをしてやっと着いた場所は、悲壮感さえ漂うぼろぼろのアパートらしき建物。夜だからそう見えただけなのかは、分からない。本当にここが今日泊まる場所なのか?と疑問を抱きながら、もう一度住所を確認した。やはりここだ。すると、7階と書いてある。まさかまさかの、最上階。しかもエレベーターはなさそうだ。どうかウソだと言ってくれ。どうしようか悩んでいると、ちょうどこちらに来た中国人の男性が、快く手伝ってくれた。重いスーツケースを軽々と持ち上げ、7階まで運んでくれるその姿はかっこよくも見えた。

 

そしてついにドアの前に着くと、溢れんばかりの大量のくつ。ああ、ここはやっぱりホステルで間違いないのだ、と確信した。どう見ても集合住宅、そして一番上にあるこの場所によく開業を…と、もはや感心してしまった。

中に入ると、やはりそこはホステルらしい感じだった。だが、これまたひどい蒸し暑さ。平気でいれるはずがないと思うが、共有スペースにいるみんなはそれぞれ何食わぬ顔で過ごしている。ソファーでは、黒い猫があおむけになって、Cの字のようにのけぞりかえっている。この暑さの中リラックスしすぎでしょ、と心の中で冷静に突っ込んだ。

その後、ホステルの人らしきお姉さんが宿泊代を払う手続きをしてくれた。可愛い名前だねと言われて、ちょっとハッピー。案内された2階の部屋(なぜか2階があった)は、2段ベッドがいくつかある女子部屋。すでにほかの旅行者や居住者で埋まっていた。部屋はエアコンがきちんと稼働しており、かなり涼しく快適。ふう、安心安心。

隣のベッドにいた女の子が、「どこから来たの?」と話しかけてくれた。彼女はシンガポールとイギリス出身の両親のもとで育ったらしい。名前はヴァイオレット。美しい名前。日本にも興味があるそうで、いくつかの日本語も知っていた。さらに話してみると、トランジットのため中国に泊まっているそうで、翌日はイギリスへ向かうフライトに乗るらしく、全く同じ時間の便。あらま。しかも、同い年ということも判明。こんなところで、なんて偶然!少し前まで後悔していたけれど、このホステルに決めた自分を褒めてやりたいくらいだった。明日はタクシーで一緒に地下鉄の駅まで行って空港に向かおうという話になった。心強い。

そのあとはシャワーを浴び、Skypeで恋人に連絡を取り、中国ではLINEやGoogleが使えないことに気付き再びがっかりした。Wi-Fiの調子が悪いのか、Instagramもなぜか開けない。家族や友人に連絡が取れずもやもやしたまま、いまにも壊れそうなベッドでその日は眠りについた。

 

長い一日、お疲れさまでした。

 

つづく