秋澄む夕暮れ
よく行くスーパーの隅に、テーブルとイスがいくつか設置されている共有スペースがある。
わたしは、和やかな雰囲気が漂うその空間が好きだ。いつ行ってもおじいちゃんおばあちゃんが多いが、たまに受験生の姿を見かける。今日もそうだった。軽食を食べながら勉強していた。
そうか、もう10月なのかーなんてぼーっと考えながら、わたしは近くのパン屋さんで買ったカレーパンを頬張っていた。3つ目のパン。(食べ過ぎとは言うまでもない。)
カレーもパンも大好きだから食べるのを楽しみにしていたけれど、そのパンはすっかり冷めてしまっていた。なんだか寂しかった。やはりあの美味しさは焼き立てに限る。
あともう少しで食べ終わるという時に、二つ隣のテーブルに座っていたおばあちゃんが「おねえちゃん、」と声をかけてきた。どうやら、お茶のペットボトルのふたを開けてほしかったらしい。
お安いご用と言わんばかりに容易く開けて、笑顔で渡してあげた。それだけなのに、喜んでくれたことが嬉しかった。
しばらくしておばあちゃんは帰って行った。気付けば居なくなっていたという言い方の方が正しいかな。少し寂しい。
…と思いきや、今度はレジ袋に入ったかっぱえびせんを持ってまた声をかけてくれた。
もう一度並んで買ってきてくれたらしい。
「ありがとね。」と言うおばあちゃん。
人のあたたかい優しさに触れた、とある夕暮れの出来事だった。
おばあちゃん、ありがとう。
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今日は雨
いつもに増してホットチャイが飲みたい気分、なんとなくそんな気がした