The Spice Of Life

人生に、スパイスを。

郷に入っては郷に従え

6/25(火)~6/30(日)

今のホームステイ先では5週間ほどお世話になるので、しばらく一週間ずつ記事を書いてまとめていくことにする。

最初の一週間は、毎日起きたことや学んだこと、食べたものなどをメモに書き起こすことすら忘れ、家族を知ろう、生活に慣れよう、馴染もう、としていた。

辺りは片手で数えられるくらいのご近所さんの家と、だだっぴろい牧場が広がる景色のみ。近くにはカフェはおろか、お店がひとつもない。なんといっても最寄り駅から車で40~50分かかるのだから、田舎な地域ということも頷ける。まるでハイジの世界だとひとり舞い上がった。ただ、山の上というわけではない。楽しくのんびり過ごせていて、毎日22時台のうちには寝て、7時半~8時の間に起きるというなんとものんびりした生活。家族全員がそんな感じ。夜は本当に明るいので、最近真っ暗な夜を観たことがないくらいかもしれない。ヨーロッパの夏を思い知る。

 

わたしは、寝る場所と食事をもらってホームステイさせてもらう代わりに、家のお手伝いやボランティアをするWorkawayといサービスを利用しているため、この家庭では週に5日 4~5時間程度のお手伝いをする予定だ。

初めての仕事は、ホームベーカリーでランチ用の食パンを焼くこと。機種はパナソニック日本製品だったので、少し日本人である自分を誇りに思えた。別に、だからと言ってわたしが日本人であることとパナソニックは何の関係もないのだけれど。

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焼きたての食パンは、中はふわっと外はカリッと香ばしく、本当に本当に美味しくて、これではいくらお店で美味しい食パンを買って家で食べてもこの味には勝てないなと気付かされる。また帰国して下宿生活を始めたら、絶対に毎日ホームベーカリーでパンを焼くことを心に決めた。そういえば、実家で使っていない製品があるらしい。譲り受けて、一生大切にしよう。

 

ふと思い出したが、イギリスでは(少なくともこの家庭では?)大きな食事のことをディナーと呼ぶため、昼ご飯でもディナータイムと呼ぶことがある。晩ごはんはティータイムという時もあるらしい。最初は戸惑ったが、ホストマザーに説明してもらい、新しい発見。

 

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家のキッチン。ナッツやシード類、豆類、ミューズリー(シリアルの一種)、パスタやお米、いくつかのスパイスやお茶の葉などは、ガラス製のジャーに入れて保存されている。たまに、ジャムなどの空き瓶を使っていたりするのもまた素敵。

 

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キッチンの片隅の壁には、こんなイラストの栄養素表が貼られている。ダイエタリーヴィーガン(お肉やお魚だけでなく、乳製品やはちみつ、チーズなど動物性のものを摂取しない)の家庭なので、栄養面には気を付けているのだろう。(ただ、以前はお肉や魚を食べないベジタリアンだったのでニワトリを飼っていて、今でもよく卵は食べている。)二人いる子どもたちには、両親二人が家庭で教育を行っているようなので、そのためでもあるかもしれない。

 

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毎日の朝食はこんな感じ。オーツ麦の加工品であるオートミールにドライフルーツやナッツが混ぜられたミューズリーをスーパーで買っているので、それにいつも植物性のミルクをかけて、さらに好きなナッツやシード類をトッピングして食べる。一度オーブンで焼かれているグラノーラと違い、サクサク感はない。

この家庭には、アーモンドミルクか豆乳が常備されてある。ここで飲んだものは、日本の豆乳と違って「豆乳風味の水」といった印象…。わたしは普段から牛乳を飲まずいつも日本では豆乳をよく飲むので、違いがよく分かった。豆腐屋さんで買う、新鮮で美味しい豆乳が少しだけ恋しくなった。アーモンドミルクは豆乳よりもカロリーや糖質が低くて美味しいけれど、製造するために使用する水の量がかなり多いことから、環境負荷を考えて豆乳を好む人もいるそう。うーん、これまた難しい問題。

 

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日本では謎に、ラフランス(ラは英語で言うと、単語の前につく a みたいなイメージ。定冠詞という)という名前でたまに見るけど、イギリスのスーパーではよく見る、小さめのひょうたん型の梨。絶妙に熟しているときは完熟の桃のようなジューシーさがあって、皮ごとじゅわっとかじるのが一番おいしくて好き。りんごももちろん丸かじり。日本で生活していると皮をむいて果物を食べることがほぼ当たり前の感覚だが、今思えば果たしてあれは何のためなんだろう?衛生面?農薬?硬い皮は食感が悪い?食べにくいから?そんなことを気にしているくらいだったら、ファストフードや添加物いっぱいの加工食品の摂取を見直して健康に気を遣ったほうがいいくらいだとわたしは思う。

 

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これはある日の昼ごはん。ソテーした野菜などをトルティーヤの生地で巻いて食べる。右側に見えるのは、一見ポテトのようだが、実はヴィ―ガン対応のフェイクチキン。鶏肉らしいきゅっと引き締まったお肉のような食感もよく似ていて、面白い体験だった。昔はお肉が好きだったけど、今は動物愛護や環境保護、健康志向などの理由で食べていない、というようなベジタリアンやヴィ―ガンの人向けにはよいだろう。あるいは、この食材を使った料理はベジタリアンやヴィ―ガン以外の人と一緒に食事をする時もみんなが満足して食卓を囲めるという意味ではすごく良い。ただ、やはり加工食品なので製造過程や添加物がすごく気になってしまうわたしなのである。

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何はともあれ、美味しかったのでよし。

ここの家庭ではパスタやスパゲティ、小麦粉やトルティーヤの生地まですべて全粒粉のものを買っている。わたしも、なんとなく体に良さそうだからと言う理由で、好きでたまに日本で食べていた。これからはそういった「なんとなく健康に良さそう」というイメージを持ったりそんな理由で購買したりすることをやめたい。管理栄養士を目指しているので、普段の生活でも正しい知識を持って食生活を送りたい、と思う今日この頃。

 

 

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土曜日に参加したのは、スーパーにプラスチック反対を訴える活動。大人数が参加するデモ活動などではない。

スーパーの前で写真に写っているボードを持って、スーパーを利用する消費者に賛同を求めたり、食品などを購入後、不必要なプラスチック包装をその場ではがしてスーパーに返したり、フィードバック及ばれるお客さま意見箱への用紙投函。そういった取り組みが、イギリス各地のスーパーで近くの住民によって行われているようだった。わたしの興味関心に合わせて、ホストマザーが連れて行ってくれた。

行き来する車に向かって、ボードを掲げる。たったの5人ほどでやっていたのだが、それでも同志がいるのは心強い。わたしたちを見て、ボードに書かれた文章をしっかり読もうと車を少し止めてくれた人や、車の中でグーサインをして賛同してくれる人もいた。「分かるわ。わたしはもうプラスチック製品を買わないことにしたの」そうやって自分のポリシーを伝えてくれる人もいた。とは言え、中にはもちろん素通りする人やしかめっ面をする人もいる。無関心を 好奇心や興味に変えることは、とてもとてもむずかしい。

でもきっとこの運動は、きっとスーパー側からすると迷惑な営業妨害にあたる行為ともとれるし、プラスチックごみ問題に関心のない消費者からすれば、一部の利用者によるただの攻撃的な行為なので、どうすればよいものか。一概にどの方法が良いとも言えないので、難しい。

 

環境保全に興味がありサステイナブルな暮らしをしているというホストファミリーを求めて、なんとか探し当てたこの家庭。生活を共にする中で、日々学ぶことや、今までは知らなかったエコな工夫がたくさんある。まあ、一方で気になる点も多々あるので、それはまた追々このブログで紹介しつつ自分の意見を述べていきたい。

 

それでは今週もお疲れさまでした

つづく