立冬を迎えて
11月ももうすぐ終わる。辺りはすっかり寒くなり、日が暮れるのもうんと早くなった。
昨日は、あまりの寒さに手足が冷えきって、家に居てもやらなければいけないことが何ひとつ捗らない日だった。そんな日もある。いや、ここのところ毎日続いている。
「そうだ! 銭湯に行こう。」
突拍子もない思いつきで、なんと近くの銭湯に行くことに。そういえば近くにあったよなーなんて、ぼんやり思い出したのだ。時刻はすでに21時45分。外に出るだけで顔や手足が凍りつくようだった。
自転車で3分くらいで到着。銭湯なんて久しぶりだなーなんて、ちょっとワクワク。
暖簾の中に入ると、店のおばちゃんがいた。そして、「あんた今来たんかいな。もう終わるで」と一言。どうやら営業は22時までらしい。(インターネットには23時という情報があったはずなのに…!)確かに、客は他に誰もいない。閑散としている。
と言いつつ、おばちゃんがご厚意で浴場の電源を入れ直してくれた。ありがたい。お金を先に払っていると、ちょうど男湯の方に新たな来客があった。
ん??ちょっと待った。見たことがある顔をしている。
記憶を辿ると、なんと同級生の男の子だった。同じ大学、同じ学部の。少人数なのでよく知っていた。あまりの偶然に、こんなことがあるのか、と思わず笑いそうになった。こんな時間にこんなところで、と同時に恥ずかしさも感じた。
営業時間のこともあったので10分くらいでささっと上がったのだが、その子とは、銭湯を後にするタイミングも同じだった。そこで初めて顔を合わせて会話した。向こうは私を見かけた記憶もなかったようだ。
少しだけしかやり取りしていないが、優しそうないい子だった。出身地が同じだと聞いて親近感も湧いた。また学内で会えたら声をかけてねと言われた。もちろんもちろん! なんだか分からないけど、仲良くなれる気がする。にしても、この変な出会い方にはちょっと笑える。
ただ、思い付きで銭湯に行く決断をして良かった!そう思った。
おしまい